水田収益力強化ビジョン

水田収益力強化ビジョンとは

令和7年度のビジョンについては、現在作成中です。このページについては令和6年度の記載となります。
令和7年度の産地交付金はこちらをご参照ください。


 水田収益力強化ビジョンは、地域の特色のある魅力的な産品の産地を創造するための地域の作物生産の設計図となるものです。全国の需給見通しや自らの産地の販売戦略等を踏まえた地域の水田における作物ごとの取組方針・作付予定面積、高収益作物の導入等による収益力強化に向けた取組方針、産地交付金の活用方法等を明らかにし、地域で共有することで、各農業者が主体的に自らの作付計画を判断し、需要に応じた生産を進め、地域の特色ある産地づくりに向けた取組を更に推進することを目的としています。水田収益力強化ビジョンの作成が産地交付金による支援の要件となります。

令和6年度 水田収益力強化ビジョン

地域の作物作付の現状
地域が抱える課題

 本県は、主食用米と非主食用米とを合わせ全国一の米生産を担い、農業産出額の約6割を米が占める米主産地であり、米を基幹とした水田農業が展開されている。
 人口減少や1人当たり消費量の減少等により、主食用米の需要が減少している中で、本県の基幹産業である稲作農業と、本県を代表する地場産業である新潟清酒や米菓など米関連産業が連携し、双方の振興を図る必要がある。
 そのため、米については、需要に応じた生産を基本としつつ、主食用・非主食用米を合わせた米全体での需要拡大と、生産者所得の最大化のための多様な米づくりを推進する。
 更に、本県の強みである米に加え、国産大豆等のニーズの高まりへの対応や、園芸導入により経営の幅を広げ、水田フル活用による本県農業の成長産業化を進める。

高収益作物の導入や
転換作物等の付加価値の向上等による
収益力強化に向けた
産地としての取組方針・目標

 国内の主食用米の需要減少が続く中、稲作経営体の収益力強化を図るためには、園芸作物等の高収益作物の導入拡大により経営の幅を広げていく必要がある。
 このため、園芸作物の導入・拡大に向けて様々に挑戦する農業者や産地を、県と関係機関・団体が一体となって生産から販売まで一貫してサポートする取組を推進し、県園芸振興基本戦略の目標である販売額1億円以上産地数の倍増や栽培面積の1,000ha増について令和6年までの達成を目指す。
 加えて、県内外の市場等からの要望や、加工・業務用への対応など、様々な需要に応じた販路を拡大することで、価格の安定化を図り、農業者の所得確保につなげていく。

畑地化を含めた水田の有効利用に
向けた産地としての取組方針・目標

 農作物を効率よく生産し、産地化を進めるため、ほ場整備の実施と併せ、排水対策の徹底による水田の汎用化を推進していく。
本県では、ブロックローテーションが可能な地域では、水稲と大豆又は麦等を組み合わせたブロックローテーション体系が広く浸透しており、この体系を維持していく。
 また、水稲(水張り)を組み入れない作付体系が数年以上定着し、畑作物のみを生産し続けている水田がないか、今後も水稲作に活用される見込みがないか等について引き続き点検し、関係機関と調整しつつ、地域の実情に合わせながら畑地化を推進する。

作物ごとの取組方針等

(1)主食用米

家庭用米

 コシヒカリは家庭内消費が中心であり、その需要に見合った生産を行う一方で、良食味・高品質を確保するため、食味を重視した米作りを徹底する。
 また、中山間地域等では立地条件を活かし、付加価値の高い米づくりを進める。新之助については、全国的な認知向上を図り需要を拡大するとともに、高いレベルで安定した食味・品質の確保を最優先とした取組を推進する。

業務用米

 業務用米は、新型コロナウイルス感染症の影響で落ち込んだ需要が回復している中ではあるが、事前契約で確実な需要を見極め、需要の見込めない米については、非主食用米への転換を推進する。また、コスト低減等により、生産者の所得確保を図る。

(2)備蓄米

 非主食用米や麦・大豆などの需要に応じた作物以外での所得確保を図るため、また、主食用米の需給調整にもつながるよう、都道府県優先枠を最大限活用した取組を推進する。

(3)非主食用米

飼料用米

 米価変動の影響を受けにくいため、経営の安定化の観点から活用を図るが、低コスト技術、多収品種及び多収穫技術を導入し、より収益力の強化につながるよう推進する。
 また、畜産農家と結びついた地域内流通だけでなく、全国流通のスキームも活用し、安定生産につなげる。

米粉用米

 主に県内の製粉業者等の実需との関係を構築し、実需が求める品種を中心に作付けを推進する。

新市場開拓用米

 海外などの新市場における新潟米の需要拡大に向け、国の支援事業の活用と併せ、低コスト生産や複数年契約の取組を進め、更なる生産拡大を図る。

WCS用稲

 県内での安定的な需給体制の構築をめざす。また、機械の整備等を支援し、規模拡大や生産コスト低減を推進する。加えて、生産性向上の取組を支援し、県産粗飼料の増産を後押しする。

加工用米

 本県を代表する地場産業である新潟清酒や米菓など米関連産業と連携し、需要の確保を進める。
 また、複数年契約や低コスト生産等を支援し、安定生産に資する取組を推進する。

(4)麦、大豆、飼料作物

 麦、大豆については、国産・県産の麦大豆への需要の高まりを受け、需要に応じた生産を実現するため、国や県の支援策を活用しながら、排水対策等の基本技術の徹底により収量・品質の高位平準化を図るとともに、生産の組織化・団地化を進め機械・施設の効率的利用を図ることで、生産コストの低減を推進する。
 飼料作物については、収量性の高い品種の導入や栽培技術の支援により生産性の向上を図るとともに、需要に応じた生産の維持・拡大を推進し、県産粗飼料の増産を後押しする。

(5)そば、なたね

 中山間地域等における水田農業経営の重要品目であるそばについては、実需と結びついた生産の維持・拡大を推進する。
 なたねについては、地域の状況に応じて生産の維持・拡大を推進する。

(6)地力増進作物

 有機農業や高収益作物等への転換に向けた土づくりとして取り組む。

(7)高収益作物

 産地交付金を活用し、地域振興作物として生産拡大を図るとともに、安定販路を確保し、稲作経営体等への園芸の導入・定着を推進する。
 さらに、機械化一貫体系の導入、集出荷施設の整備及びほ場排水条件の改善等により、水田等を活用した省力的で生産効率の高い産地を育成し、園芸生産の拡大を図る。

作物ごとの作付予定面積等

 県の年産別生産目標は、直近の需要実績や作柄、需要見通し等を踏まえ毎年設定することとしているため、令和8年度の目標設定は不可能だが、2年後の令和8年度の作付目標面積は国が示す全国の需要量の推移を参考に、令和8年度の全国の主食用米の需要量が令和6年産からさらに20万トン減少すると仮定し、新潟県の主食用米の生産面積を試算し、それ以外の作物の面積については主食用米の減少面積に応じて、機械的に同じ割合で増加させ、仮の目標を記載している。
 また、作付目標面積については、国の需要量の見通し等を参考に毎年見直しを行う。

(単位:ha)

作物等 前年度作付け面積等 当年度の作付予定面積等 令和8年度の
作付目標面積等
  うち二毛作   うち二毛作   うち二毛作
主食用米 100,600 - 99,900 - (98,900) -
備蓄米 4,559 - 4,660 - (4,770) -
飼料用米 4,032 0 3,600 0 (3,690) 0
米粉用米 1,784 0 1,800 0 (1,840) 0
新市場開拓用米 1,586 0 1,900 0 (1,950) 0
WCS用稲 533 0 750 0 (770) 0
加工用米 7,093 0 7,200 0 (7,370) 0
257 68 300 70 (310) 70
大豆 4,079 83 4,150 90 (4,250) 90
飼料作物 303 7 350 10 (360) 10
・子実用とうもろこし 1 0 1 0 (1) 0
そば 861 16 880 20 (900) 20
なたね 0 0 0 0 (0) 0
地力増進作物 1 0 1 0 (1) 0
高収益作物※ 1,105 32 1,110 30 (1,150) 30
・野菜 1,003 32 1,005 30 (1,030) 30
・花き・花木 74 0 75 0 (80) 0
・果樹 5 0 5 0 (10) 0
・その他の高収益作物 22 0 25 0 (30) 0
畑地化 130 - 170 - (170) -

産地交付金の支援対象のみ

課題解決に向けた取組及び目標

整理
番号
対象作物 使途名 目標 前年度(実績) 目標値
1 加工用米
(基幹作)
安全生産支援 低コスト生産の
取組面積
(令和5年度)4,628ha (令和8年度)6,000ha
2 新市場開拓用米
(基幹作)
低コスト生産支援 新市場開拓用米の
作付面積
(令和5年度)1,586ha (令和8年度)1,950ha
3 WCS用稲(基幹作) 生産性向上支援 生産性向上の
取組面積
(令和5年度)529ha (令和8年度)750ha
4 飼料作物
(基幹作)
生産性向上支援 生産性向上の
取組面積
(令和5年度)224ha (令和8年度)300ha
5 高収益作物
(基幹作)
拡大支援 高収益作物の
前年度拡大面積
(令和5年度)112ha (令和8年度)120ha
6 新市場開拓用米
(基幹作)
作付支援 新市場開拓用米の
作付面積
(令和5年度)1,586ha (令和8年度)1,950ha
7 新市場開拓用米
(基幹作)
複数年契約支援 新市場開拓用米の新規
複数年契約取組面積
(令和5年度)379ha (令和8年度)390ha
新市場開拓用米の
作付面積
(令和5年度)1,586ha (令和8年度)1,950ha
8 そば・なたね
(基幹作)
作付支援 そばの作付面積 (令和5年度)861ha (令和8年度)900ha

産地交付金の活用方法の概要

整理
番号
使途 作期等 単価
(円/10a)
対象作物 取組要件等
1 安定生産支援 基幹作 6,000
(上限6,000)
加工用米
(基幹作)
低コスト生産の取り組みを2つ以上、
もしくは令和4年度、5年度産又は
6年産~3年以上の複数年契約
2 低コスト生産支援 基幹作 6,000
(上限6,000)
新市場開拓用米
(基幹作)
低コスト生産の取り組みを2つ以上実施
3 生産性向上支援 基幹作 5,000
(上限5,000)
WCS用稲
(基幹作)
生産性向上に資する取組を2つ以上実施
4 生産性向上支援 基幹作 5,000
(上限5,000)
飼料作物
(基幹作)
生産性向上に資する取組を2つ以上実施
5 拡大支援 基幹作 25,000
(上限25,000)
高収益作物
(基幹作)
地域農業再生協議会が支援する
高収益作物の前年度からの拡大分
6 作付支援 基幹作 20,000
(上限20,000)
新市場開拓用米
(基幹作)
新規需要米取組計画の認定
7 複数年契約支援 基幹作 10,000
(上限10,000)
新市場開拓用米
(基幹作)
令和6年産~3年以上の新規複数年契約
※コメ新市場開拓等促進事業の
支援対象となっていること
8 作付支援 基幹作 20,000
(上限20,000)
そば・なたね
(基幹作)
農協等と需要者との間で締結された
販売契約に基づく農協等との出荷契約
又は需要者との販売契約